2020/05/02

今回は、我が家に生息する苔をご紹介。
ここは北八ヶ岳の山麓、標高1360m地点の山林。
湿度が低いと言われている高原地帯ですが、朝夕と日中の寒暖の差で露がたっぷり。苔が生えまくる地域です。

それでも陽のよく当たる場所に生息している苔は潤いが足りないみたいで、ちょっと残念な姿・・・


なかには こんもりと繁殖して美しい種類もあります。


そして近くで観察すると、面白いミクロの世界なのでした。
これは繁殖に必要な胞子体と蒴。
蒴はベレー帽を被ってます。カワユイ💚

ちなみに胞子体とか蒴とは・・・
苔の繁殖のための器官です。ざっとこんな感じ。



* オオスギゴケ *
これはフワフワしていて触ると気持ちが良い。
胞子体が見つかりません。
ここのコロニーは他所に比べて、パーソナルディスタンスが広いですね。
新型コロナ肺炎に感染しないよう、人間も見習いましょう。

さて、苔は、乾燥している時と水分で潤っている時では、葉の形状が異なる特質を持つものがあります。

オオスギゴケもその一種。

苔は雨などの大気中の水分の量で自身の水分の率が変わるそうです。(変水性)
晴天の乾ききった苔に水を与えると、それまで休眠していたのが目を覚ました様に一気に葉を開いてくれます。

さらに苔は、根を持たず仮根でコロニーを作って、お互いに寄り添った隙間に土や水などの養分を蓄えるそうです。


* シッポゴケ *

尻尾のような葉のフサフサ部分がちょっと内巻きになってます。
一見フワフワで柔らかいのかと思いきや、オオスギゴケと比べるとゴワっとしていて、まるで羊の毛みたいです。
手のひらで押さえてみると、程よい弾力。
森の妖精さんのベッドにもってこい。

シッポゴケの胞子体。蒴の大きさは、長いもので 3mmほど。

こちらはオオスギゴケシッポゴケの混ざり合い。
濃い色の方がオオスギゴケ。
新しいコロニーの陣取り合戦の様です。



ボリュームたっぷり。

緑のグラデーションが綺麗です。
そして葉が綺麗にカールされています。

ハイゴケの胞子体。蒴の長さは 2.5mmほど。
水はけの良い絶壁コロニーで、直角に立ってます。

まるで宇宙生物。物体X。

ピントがイマイチですが、蒴は、ベレー帽のような蓋が外れるとピロピロした蒴歯が現れます。



* エゾスナゴケ *
光の当たり具合によって、とても綺麗な緑色になります。

皆さん同じ方向に首を傾けていて、なんか可愛いです。

エゾスナゴケも、乾燥している時と湿気を含んでいる時ではまるっきり違う姿に。


胞子体。蒴の長さは 2mmほど。
とんがり帽子被ってます。
小人みたいですね。


* ナガバチヂレゴケ *
岩やコンクリートに良く生えている、一見地味な苔ですが、良く見ると・・・
ドレッドヘアー。
ファンキーです。

そして、こちらも水を含むと・・・
葉が一斉に開きます。
ツンツン、スパイキーヘアー。これもまたファンキー。

胞子体。蒴は 2mm弱。
蒴歯が思いっきり、パ〜っと。
こちらも物体X 的な雰囲気。

ナガバチヂレゴケエゾナスゴケのコロニー陣取り合戦。


* コバノスナゴケ *
こちらも負けじとファンキーです。
かなりチリチリ。

胞子体。蒴は 2mmほど。
蒴歯が、ペロンペロ〜ンって感じで、爬虫類ちっく。
水をかけると・・・



* コツボゴケ *

現在はカラマツの落ち葉が被っていますが、春から夏にかけて緑色の絨毯の様になる苔。
駐車スペースのコンクリートの地面に広がっています。
今年はスミレちゃんがお邪魔しています。

最近お天気が良いので乾燥してチリチリ状態になってます。

↓↓↓ 水をかけるとこうなります ↓↓↓



コツボゴケ、スミレ、カラマツの葉、新しい胞子体、古い胞子体、新しい蒴、古い蒴・・・ワンショットに盛りだくさん。

胞子体。蒴は 3mmほど。

今は新しい胞子体の成長時期。


おっと、カラマツの落ち葉を掃いてたら、被ってた帽子を落としてしまいました。


ごめんよ😅


* アツバジョウゴゴケ *

変な苔を発見。
白くてラッパみたいなやつ。
調べてみると実はこれ、苔ではなく地衣類という菌類だそうです。

ジョウゴゴケの仲間にはとても似ているヒメジョウゴゴケがありますが、アツバジョウゴゴケはスギゴケのような茎のある蘚類とよばれる苔の間や岩に生える種類だそうです。
↓↓↓まさにその通り!↓↓↓



* ケギボウシゴケ *

左のチビちゃんの蒴の形状で判断すると、これはケギボウシゴケと思われます。

こちらは胞子を空中に撒き終えた蒴。
正面から見た蒴歯が太陽みたいでかわいらしい。


小さなコロニーに水をかけると、黒っぽかった葉が広がって綺麗な緑色のお団子状になりました。

可愛いですね。中央のドームが直径 1cmほど。


* ホソバギボウシゴケ *
ケギボウシゴケと同じ岩場で陣取り合戦をしている苔。

上の画像は湿潤時の様子。
↓↓↓ 乾燥状態だと、およそきれいとは言い難です ↓↓↓


しかし、水をかけると透けた感じの綺麗な薄い黄緑色に。
まるでお星様の様です🌟


蒴は蒴柄が無く、配偶体の先に直接付きます。


以上、キリがないので今回はここまでにいたしましょう。


* 余談 *
苔は雪深い冬でも枯れないので、四季折々の背景と楽しめます。

ツララも出来ます。

秋には色々なキノコも現れます。


以上、ここまでご観覧ただいたみなさま、どうもありがとうございました。お疲れ様でした。

今回紹介できた苔は9(+菌類1)種類でしたが、これらの名前を調べるのにとても時間がかかりました。
これかな?と思ったら葉の形態が微妙に違っていたり、胞子体や蒴の形が違ったり・・・。
何しろ日本には現在1800種類もの苔が確認されているのですから。

それでも楽しいミクロの世界の再発見でした。