2019/10/17

宝福寺般若院 訪問

宝福寺般若院の枯山水
宝福寺(2009年11月)
先日、母方の伯父の法事で菩提寺である岡山県総社市の宝福寺般若院を訪問。

宝福寺は臨済宗の禅寺で、水墨画で有名な僧侶・雪舟の幼少期の修行寺であり、寺院内には雪舟の石像や絵が置かれています。

総社市の有名人という事で、私も小さい頃に祖母や伯母から雪舟とネズミ絵の伝説を聞かされておりました。

雪舟のネズミ伝説:

ヤング雪舟はお絵かきばかりしていて一向にお経を覚えない。
ある日、また修行をサボってお絵かきしていたところを和尚さんに見つかり、罰として縄でお堂の柱にくくり付けられました。
なかなか許しを頂けず縛られたまま、泣きながら足の指を使って自分の涙でネズミの絵を床に描きました。
夜更けに和尚さんが様子を見に来たところ、あまりにも上手に描かれたネズミを生きたネズミが足元にいると思い込み、
「こりゃーえれーこっちゃ!雪舟がネズミに喰われるが!」
と、慌てて縄をほどき、雪舟は まんまと 無事フリーの身となったとさ。

という、和尚による小坊主せっかん話であります。
これを機に、和尚さんはヤング雪舟の絵の才能を認めたそうです。

涙で描かれたネズミは大きかったと云いますので、マウスではなく病気感染とかするラットに見えたのでしょう。そりゃ〜危ないですよね。和尚さんもさぞ慌てた事でしょう。


宝福寺はまた、紅葉の名所でもあります。
以下の画像は、2009年11月の宝福寺です。


こちらは楓の老木です。葉一枚の重さも大変そうなほどのお年寄り。
そして奥の方に三重塔が見えます。

重要文化財の三重塔。

この三重塔、歴史的に国宝級でありますが、修理の際に上塗りをしてしまった為、重要文化財どまりになってしまったそうで。
塗り直していなければ国宝になったであろう建築物。
(以上、超ローカル情報)
そして少し傾いています。
(真偽は定かでない)


そんな三重塔のお隣に位置する宝福寺の塔頭『般若院』にて、我らは法事を執り行います。

良く見ると、瓦屋根には岡山名産の桃が乗っておりました。

玄関をあがると、早速 ネズミの衝立が出迎えてくれます。

庭の端には、つくばい。

廊下からは枯山水の庭が望めます。

先日はまだ紅葉には早い10月中旬。
枯山水に佇む桔梗の花が可憐で美しい。

11月頭になると紅葉が綺麗です。こちらは2009年撮影の画像。
枯山水に紅葉、本当に素晴らしいです。
廊下には鐘が
さて、毎回法事の前には、お茶を一服いただきます。
ちなみに宝福寺の先代住職さん(般若院とは別人)は、祖母と伯母のお茶(裏千家)とお花の先生でした。

お経の本。
皆で声を出して唱えましょう。

サンスクリット語を漢文訳(当て字)で意味わからずですが・・・。
勉強不足でごめんなさい。
まるでカトリック典礼をラテン語(ルビ付き)で唱えてるようでした。


般若院では、精進料理や湯豆腐をいただくことが出来ます。
法事の時だけでなく、一般の方も利用出来るみたいです。

10年前の法事の時は、お斎を院内のお部屋で頂きました。


お斎の席では、住職から『禅修行における悟り』『禅僧の悟り』についてなど、色々なお話を伺えました。

今回の法事ではお食事は頂かなかったのですが、お墓でNGな事など、目から鱗の話を教えてくださり、興味深かったです。

例えば、「墓地に生えた雑草は抜かない」とか、「水を暮石にかけない」とか。

雑草の件は、「寝る子を起こすな」的なことで、お墓を移動させたりするのが良くないのと同じで、掃除などガシャガシャバタバタするのは控えなさいという事。

墓石に水の件は、こちらも「寝る子を起こすな」に近くて、いきなり水をバシャ〜ッとかけられたら、霊がビックラこくらしいです。
特に暑い夏に冷たい水は、生きてる人間でもびっくりしますよね。霊も一緒みたいです。

面白いですね。

般若院の入り口掲示板。(2009年撮影)

そして、そういえばどの部屋にも、廊下にも、あらゆる場所に坐禅の棒(警策)が壁に掛けてありました。
 

玄関にも!とおもいきや、それは同じ様な色形をした靴べらだったという・・・。

色々な事が、いちいち新鮮な禅宗の世界でした。


そういえば、雪舟はいくつかの庭園を設計していると言い伝えられています。
『雪舟四大庭園』というのが特に有名らしいので、行ってみないと!